※この物語はフィクションです。登場人物・団体・状況はすべて架空のものであり、実在の人物・団体・施設等とは一切関係ありません。
登場人物はすべて20歳以上の成人として描かれています。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。

窓の外から差し込む午後の光が、静かなオフィスに微かな熱を運んでくる。打ち合わせの準備をしていたはずなのに、僕の意識は資料よりも、目の前で揺れるボブの毛先に釘付けになっていた。
「準備、手伝ってあげようか?」
そう言ってデスクに身を乗り出したかおり先輩の、薄い黒のブラウスから覗く白く柔らかな曲線。タイツ越しに伝わる脚のラインが、ディスプレイの光を反射して艶めかしく光っている。わざとなのか、それとも無自覚なのか。彼女が動くたびに、甘い香水の香りと、服が擦れる秘めやかな音が僕の理性を削り取っていく。
たまらず、僕は彼女の視線を捕まえるように問いかけた。「先輩、わざとですよね…?」
彼女は一瞬、悪戯が見つかった子供のように目を見開き、それから熱を帯びた瞳で僕を見つめ返した。潤んだ唇がゆっくりと弧を描き、吐息が触れるほどの距離で、彼女は毒のように甘い言葉を零す。
「…気づくの、遅いよ」
その瞬間、僕たちの間に引かれていた境界線は音もなく溶け去った。重なる吐息と、加速する鼓動。次はどちらが先に、この静寂を壊すのだろうか。




琥珀色の夕闇が、静まり返ったオフィスを飲み込んでいく。かおり先輩との間に流れた、あの熱い吐息の余韻がまだ指先に残っているというのに、時計の針は無情にも次の予定を指していた。
「まさかね…」
自分に言い聞かせるように呟く。あんな偶然が二度も続くはずがない。だが、会議室のドアを開けた瞬間、その淡い期待は甘美な絶望へと変わった。
先に会議室にはいっていたりかこ先輩。
「遅かったわね。待ちくたびれちゃった」
伏せられた睫毛が揺れ、潤んだ瞳が僕を捉える。彼女はわざとらしく、透けるような黒い袖から覗く白い手首と僕を誘うように上目遣いで微笑んだ。


その隙間に見える柔らかな肌の白さが、僕の残っていた理性を最後の一片まで溶かしていく。
かおり先輩が「悪戯」なら、目の前の彼女が仕掛けているのは、もっと確信犯的な甘い罠。逃げ場のない夕暮れの密室で、彼女の指先が僕のネクタイに触れる。
「ねえ…仕事の話は、もういいと思わない?」
震える吐息が耳元を掠め、僕の思考は完全に停止した。この部屋の鍵を閉めるのは、僕の役割なのだろうか。

※本記事に掲載されている画像はすべてイメージです。モデルは20歳以上であり、演出・フィクションを含んでいます。