※この物語はフィクションです。登場人物・団体・状況はすべて架空のものであり、実在の人物・団体・施設等とは一切関係ありません。
登場人物はすべて20歳以上の成人として描かれています。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。
僕が入院して、もう一週間。
ナースのかおりさんは、今日も静かに病室へ入ってきた。白い制服に包まれた彼女の微笑みは、手の骨折の痛みさえ和らげてくれるような気がする。
誰にでもやさしく、対応は丁寧で、声はやわらかい。体調を確かめるために自然と距離が近づき、励ますように手や肩にそっと触れる――本人は気遣いのつもりでも、その近さは、ときどき男心を勘違いさせるには十分だった。
夜になると、個室の静けさが余計なことを考えさせる。
不自由な手、長い夜、昼間に何度も思い出す彼女の仕草。
夜勤で病室にきてくれたかおりさんに思い切って欲望を口にした。
突然のお願いに、かおりさんは一瞬言葉を失った。
そして、白衣の裾を指でつまみ、視線を落とす。迷うような沈黙のあと、彼女は小さく息を吸った。
「……骨折、つらいですよね」
そう言ってベッドの脇に腰を下ろし、個室のドアがしまっているのを確かめる。声はいつもより低く、近い。
「こんなになっていて……今日は、特別ですよ」
ゆっくりと距離が縮まり、体温が伝わるほど近くなる。
「……痛くなったら、すぐ言ってくださいね」
控えめだけど覚悟を決めたその表情に、病室の空気が変わったのを、僕は確かに感じていた。












※本記事に掲載されている画像はすべてイメージです。モデルは20歳以上であり、演出・フィクションを含んでいます。


