黒タイツ越しの出会い

――スタジオの照明が眩しい。
今日の撮影衣装は、いささか露出が激しいハイレグメイド。
りあはそわそわとスカートの端を引っ張っていた。
「だ、だれがこんな衣装選んだのよ…っ」
スタッフに言いかけてやめる。アイドルは、着せられるのも仕事。だけど――視線が気になる。
特に、今日のカメラマン。無言でシャッターを切るその目が、やけに足元ばかり見ている気がして。
「……アンタ、どこ見てんのよ」
「ごめん。…でも、すごく綺麗だったから」
低い声と真剣な視線に、りあの頬がかすかに赤くなる。
(あ、やばい…今のちょっとズルい)
シャッター音とともに心拍が加速する。撮影後、スタジオの隅でふたりきりになったとき、彼はそっと言った。
「黒タイツ越しの、君の膝…ずっと見てた。変かな」
「…変じゃない、かも。あたし、そういうの……嫌いじゃないし」
口にしてから、耳まで熱くなるのを感じた。
「指先が伝える、秘密のサイン」

「さっきの撮影、…すごく良かった。りあちゃん、魅せるの上手いね」
「…ちょっとは、アンタのせいだけどね」
足元をじっと見つめながら、りあは椅子の上で足を組み替える。
黒いストッキング越しの脚が、テーブルの下で彼の膝に触れた。
「…わざと?」
「……知らない」
小さな唇が、ふいに近づく。頬にかすかに触れるだけのキス――と、思ったのに、唇が唇をかすめた瞬間、彼の手がそっとりあの太ももに触れた。
「……ん」
声にならない吐息がこぼれる。
それだけで、全身がじんわり熱くなっていく。
彼の指先が、黒いストッキング越しに滑る。ゆっくりと、優しく。でも、確かにりあの「好きなところ」を知っているような手つきで。
「…あんた、足フェチでしょ」
「うん。でも…君もそうなんじゃない?」
見透かされたような言葉に、何も言い返せなかった。
「ベッドの上、ほどかれたツインテール」

泊まっていけば?と誘われた夜。
りあは断れなかった――断りたくなかった。
彼の部屋。ベッド。白いシーツの上。
いつもより深い視線と、ツインテールを解く彼の手。
「……こんな髪型、子供っぽいよね」
「かわいいよ。…でも、今は、もっと大人の顔が見たい」
りあの胸が、小さく震えた。ストッキングを履いたままの脚に、唇が触れる。
彼の舌が、膝裏に這った瞬間、思わずビクンと脚を震わせた。
「ひゃ…っ、ちょ、まって…そんなとこ…」
「りあちゃんの好きなとこでしょ?」
囁かれて、もう何も言い返せない。
やがて、彼の手がボディスーツのホックを外す。肩紐がするりと落ち、白い肌が露わになる。
肌と肌が触れ合うたび、りあは目を閉じて――すべてを、預けた。
「……バカ、責任とってよね」
朝焼けの中、彼の胸に頬を押し付けながら、りあはそっと呟いた。
その表情は、もう誰にも見せないアイドルの顔だった。
※本記事に掲載されている画像はすべてイメージです。モデルは20歳以上であり、演出・フィクションを含んでいます。